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ラインダンス考

ラインダンスは、戦前から「ダンスのOSK」と称えられたOSK日本歌劇団のお家芸といってもいいかと思います。
もちろん、他でもラインダンスは行われます。
宝塚歌劇では、初舞台生によるラインダンスが一つの呼び物になっています。

しかし、初舞台生の出し物ということで、我々素人としては、普通のダンスより簡単なのかと軽く見てしまいがちではないでしょうか。

実際、ラインダンスは見たところ、動きが単純です。
いろいろ、バリエーションはあるものの、最終的には横一列になって、全員が一斉に脚を上げ下げするのが基本です。

OSKのラインダンスも、そこのところは同じです。
ただし、脚上げに対する情熱と気合が、他と一線を画しています。

また、人数の関係でOSKでは新人のみでラインダンスを構成するのが難しく、いきおい中堅どころの娘役が加わることが多くなるので、技術的にも高い水準のダンサーをチームの中に擁することになります。
当然、新人だけのラインダンスよりも見ごたえのあるものになってもおかしくありません。(ただし、新人や研修生も加わっているため、足をひっぱられることもあり得る)

以前、松竹座公演の稽古風景がTV番組で放映された時に、下級生にラインダンスの指導をしていた上級生が「ラインダンスは(脚を)上げてナンボやから」と言っているのが映りました。

「脚上げてナンボ」

このいかにも大阪っぽい言い方が、OSKのラインダンスを象徴しています。

OSKのファンがラインダンスに期待するのもそこです。

ナンボには、脚を上げる高さも、脚を上げる回数も、脚を上げるスピードも入っています。

OSKのラインダンスを見慣れていると、脚を上げた高さが90度以下では、上げたうちには入らないと見なす癖がついてしまいます。

先日の南座公演でのラインダンスは、見た人によって評価が分かれました。
けっこう綺麗だったという人と、ぬるくてお話にならないと不満をもらす人と。
その違いは、やはり脚上げに対する要求水準の違いだと思われます。

私のみたところ、今回のラインダンスは、人を驚かせるようなパワーは無いが、それほど悪くはありませんでした。
よくそろっていましたし、フォーメーションにも変化があって、見て楽しめるダンスシーンになっていました。
脚を上げる回数もけっこうありました。
ただし、途中までそれは、高くて90度まででした。
本当は90度だって大したものなのです。
ためしに自分の脚を上げてみてください。
脚をまっすぐにしたまま、どれだけ上がるでしょうか?
それを5回でも、同じ高さに規則正しく上げるとしたら、どうでしょう?

無論、プロのダンサーなんですから、素人よりできるのは当然です。
それでも、ある程度の回数、一定の高さに脚を上げるのは楽ではないはずです。

しかし、OSKのファンにとって、90度という高さは、ラインダンスの脚上げとしては不足なのですね。
これではラインダンスを見た気がしない。
真にラインダンスと言えるのは、90度以上の脚上げです。
少なくとも、つま先で顔が隠れなきゃいけない。
そして、最高潮に達した時、つま先が頭のてっぺんまで上がるのです。
それを見て、やっとファンは満足します。

南座公演では、90度の脚上げが10数回あった後に、さらに高い脚上げが始まりました。

筋金入りのOSKファンは、ここからようやく、本当のラインダンスが始まったと思ったはずです。
ところが、そのハイパー脚上げは、たった数回で終わってしまいました。
たぶん、多くのファンが「え、これで終わり?」と肩透かしを食らった思いを抱いたでしょう。
某所で「脚上げがあと5回あれば」と書かれていましたが、言い得て妙だと思います。

多くのファンの不満はおそらく、「さあ、これからいよいよOSKの誇るラインダンスの本領発揮」という期待が不完全燃焼に終わったことにあると思われます。

べつにOSKファンだって、登場するなり脚を上げて、時間中ずーっと脚を上げていろと言うわけじゃないんです。
それは、さすがに単純すぎて、退屈です。
最初のほうは、いろいろ別の踊りがあってもいいんですが、クライマックスには、これでもかこれでもかこれでもかーっとばかりに、高速で高角度の脚上げが続いて欲しい。

これが、OSKのラインダンスの醍醐味です。


ところで、ラインダンスのことを、ロケットと言ったりします。

なぜ、そのように呼ぶのか、という話が、以前、私の掲示板で出て、その時に教えてもらいました。

一列に並んだところがロケットみたいとか、勢いよく脚を上げるところがロケットの発射に似ているとか、そんなことを考えていたのですが、実際は宇宙に行くロケットとは全く関係はなかったのでした。

アメリカのラジオシティ・ミュージック・ホールのショウガールが、ロケット・ガールズと呼ばれていたそうです。
ロケット・ガールズが踊るラインダンスが、ロケット・ダンスというわけです。
このロケットは、RocketではなくRockette。
スペルが違います。
Rockはロックフェラーのこと。
語尾の -ette は、リーダーズ英和辞典によりますと、「…の小さなもの」「…の集団」「…の女の人」などの意、と出ています。
Rockette は、「 Rockの集団」ということだったのですね。
つまり、ロケット・ガールズというのは、ロックフェラーの女の子たちを意味したわけです。

さて、こんにち、ロケットガールと単数形で言うと、それは、ラインダンスの真ん中でリーダー格で踊る人を意味したりします。
そういう意味でのロケットガールは、他のダンサーよりも少しステイタスの高い衣装を着て、一人だけ違った振り付けで踊り、たいへん目立つ存在です。

今回の南座でのロケットガールは、平松沙理さんでした。
実は、今年3月、松竹座の「春のおどり」でも平松さんはロケットガールでした。
ロケットガールは、通常、中堅どころでダンスの実力がある娘役が勤めます。
松竹座で、無幾庵一押しの娘役である平松さんが初のロケットガール役となったのは、喜ばしいことだったのですが、振り付けが、あまりぱっとしなかったのが不満でした。
ラインダンス全体ではなく、あくまでロケットガールのポジションに関してだけのことですが。
折角のロケットガールだというのに、あまり目立つところがなく、一列になって脚を上げるところでは真ん中ですらなかった。
衣装もまわりと違うところが無いようにみえたので、完全に埋没してしまって、どこにいるのやら、という状態でした。
それが、私としては大いに不満だったのですが、うってかわって今回の南座では、平松さんオンステージと言っていいほどの活躍ぶり。
ジャンプで華やかに登場した後、他のメンバーが周りでフォーメーションを変えながら踊る中、一人、別の振り付けで踊りまくる。
娘役としては長身で、手足の長い人ですから、こういう時、とても見栄えがします。

最初に見たときは、平松さんの動きを追うので忙しく、それだけでほとんどラインダンスの景が終わってしまいました。
だから、ラインダンスとしては、不消化だけど、平松さんのロケットガール的には、たいへん満足がいきました。

ロケットガールといえば、OSKにはロケットボーイというのもあります。
松竹座や南座の公演では、登場したことがありませんが、他の公演でしばしば見ることができます。

普通、男役がラインダンスに参加する場合、娘役と同じ衣装を着ます。
男役も元は女性ですから、衣装さえ変えれば、女役でも全然支障はないわけです。

ラインダンスの衣装と言うと、ダルマと呼ばれる手と足を露出したワンピースの水着みたいな衣装です。
下のような感じです。



ロケットガール
(南座の平松沙理さん。胴体は金色のラメスパンなのですが、鉛筆画でキラキラなところを表現するのは私の技術では難しいです)


ロケットボーイというのは、ロケットガールと役割は同じなのですが、男役の姿のままで加わります。
そして、列の中に入って、他のダルマ着用のメンバーと同じように脚上げをします。
これが、なかなかカッコいいのです。
上がった脚がしゅっとまっすぐにのびているのが見ていて気持ちいい。
娘役だって、脚はまっすぐですが、どうしても生身の曲線が出てしまいます。
その点、ロケットボーイの脚は、ズボンのおかげでほぼ真っ直ぐです。
その直線的なラインが、見ていてすがすがしい。

ロケットボーイも、中堅どころの男役が務めます。
若手の男役がダルマを着て、ラインダンスに加わるのは珍しいことではありませんが、ある程度、男役の経験を積むと、そういうことはなくなります。
少し上位の男役がロケットボーイとしてラインダンスをしてくれるのも、ファンにとっては嬉しいものです。

南座で振り付けを担当された一人、真島茂樹氏がかつて所属された日劇ダンシングチームで、ロケットボーイというものがあったかどうか、知りませんが、もしも可能ならば、真島氏のロケットボーイでラインダンスを見てみたいと夢想します。
まっすぐ上げた脚が天井まで届く真島氏なら、OSKのロケットボーイも余裕でこなせそうです。
桜花さんに振り付けしつつ、一緒に踊る真島氏の映像を見て、そんなことを考えます。

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