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アラビアン・ナイト

OSK南座公演「レビュー in KYOTO Ⅲ」
第2部は洋舞ショーですが、第4場「アラビアン・ナイト」という場面があります。



砂漠をさすらう若者桜花昇ぼる)の目の前に、忽然と宮殿があらわれる。 
後宮に迷い込んだ若者は、女A朝香櫻子)に出会い、二人は恋におちる。
宮殿の主、太守桐生麻耶)は、美女牧名ことり)に命じて若者を誘惑させ、二人を引き離そうとする。
刀を抜いて若者を殺そうとする太守
兵士や後宮のたちが入り乱れる中の大立ち回り。
勢い余った太守の刀に斬られたのは美女
一同、呆然として、暗転。
気がつけば、若者はただ一人、砂漠に倒れていた。
今の出来事は、蜃気楼が見せた夢だったのか・・・(と、歌う)。

  (赤字はプログラムの役名です)




こんな感じのシーン。
最初と最後に桜花さんのソロ歌がある以外は、全くセリフも歌もなく、踊りだけでお話が進行します。
ハーレムの美女たちのアラビア風の踊りや、兵士の群舞が見ものです。
音楽もカッコいい。
立ち回りの時の音楽など、時代劇のチャンバラを思わせる盛り上がり方です。
「暴れん坊将軍」とか「水戸黄門」で、主人公が悪い奴と斬りあうところの音楽みたいですね。
こういうの大好き。

若者と太守とその部下が花道で大立ち回りを演じていて、舞台上では兵士と女たちがオロオロとしている雰囲気のダンスを踊っているときに、舞台後方の段上で、櫻子ちゃんとことりちゃんが、1対1の熾烈な戦いをくりひろげています。
OSKのお姫様は「あ~れ~~」と叫んで逃げたりしないのです。

最初にこれを見た時、桐生さん演じる太守に、「王様になった悪い魔法使い」という印象を受けました。
私が連想したのは、ハウフの童話『こうのとりになった王様』です。
ハウフはドイツの作家ですが、これは(挿絵によれば)アラビア風のお話で、魔法使いに騙され、魔法をかけられて国をのっとられてしまった王様の話です。
ひょっとしたら、桐生さんの扮装が、子供のころに読んだ本の挿絵の魔法使いに似ていたのかもしれません。

舞台でストーリーの進行を見ているうちに、桜花さんを女二人が争い、まわりに大勢いるという構図が、今年の春のおどりの一場面、ラテン風白鳥の湖に似ていると思えて、今回はそこにロッドバルトが加わった形だなあと思いました。(やっぱり桐生さんは魔法使い)
その後の展開は、全然違うのですけど。

さて、各所で話題になっている、「櫻子ちゃん(女A)と、ことりちゃん(美女)は何ものか?」という謎を、私も考えてみました。

私としては櫻子ちゃんは全然謎ではなく、悪い魔法使いに滅ぼされた元の王国の王女で、父は殺され、自分は無理やり後宮に入れられたという設定です。
一応、元はお姫様なので、一般人とは待遇が違って、一人だけ豪華な衣装を着ています。

実は、ことりちゃんの正体がわからなくて、けっこう考えました。

最初は、桐生さんのハーレムの女の一人だと思いましたが、そのうち娘だという気がしてきました。
これは、ロッドバルトとオディールのイメージで、そういうふうに思ったのだと思いますが、ことりちゃんの衣装が他の女たちとはデザインが違っていて、何か違ったステイタスがあるのだと思えるせいもあります。(デザインが違うのは、劇団内の序列のため、とか野暮なことは言いっこなし)
ことりちゃんの衣装だけ、背中にリボンがついているのが可愛いなと思ったので、年令を低く感じたのかもしれません。

しかし、桐生さんとことりちゃんの登場時のダンスは、かなりエロティックな雰囲気で、これが父娘とすると、近親××?ということになって、あまり健全ではなくなります。
王女が父王から求婚される「ロバの皮」というペローのおとぎ話もあるぐらいなので、これでもいいかなあと思ったのですが、このダンスの後、床に横たわったことりちゃんが起き上がる時の動きが、いかにも桐生さんに呪文をかけられている風に見えるのです。
実の娘に、そんなことをするでしょうか。
桐生さんの指令の下、ことりちゃんは、櫻子ちゃんとよろしくやっている桜花さんを誘惑しにいきます。
相手にされなくて、戻ってきたことりちゃんにもう一度、さらに強力な魔法をかける(と見える)桐生さん。
うまく、桜花さんと抱き合っているところで、櫻子ちゃんに一発ビンタを食らう。

ここで、あんなに気が強そうなことりちゃんが、全然反撃しないのはおかしい、と某所に書かれていましたが、なるほどな、と思いました。
たしかに、頬を叩かれたことりちゃんは、おとなしく退いて、代わりに桐生さんが剣を持ち、桜花さんを攻撃し始めます。

この部分のことりちゃんの不可解な行動から、無幾庵の妄想が発令しました。





つまり。


結論。


ことりちゃんは、人間ではない!

ことりちゃんは、魔法使いの桐生さんが造ったホムンクルス(人造人間)みたいなものなのです。(あくまで、桐生さんは魔法使い)

つまり、桐生さんの作品、だから一種の娘みたいなものですね。
でも、血のつながった娘じゃないから、エロティックな関係もあり得るわけで。
自分の作品に恋人のような愛情をそそぐ、というのは、よくあることですし。
でも、ある種の愛情はそそいでいるけど、人間ではなく自分の造ったものだから、どんな理不尽な命令でも下すわけです。

一方、作品の側は、作り手に対して盲目的な愛情と忠誠心を持っていて、あらゆる命令に従うんですね。
人間じゃないから、普通の倫理観もないし、作り手の望むままに何でもします。
そして、身を犠牲にしても作り手を守ろうとします。

こういう関係って、アニメやラノベでもおなじみです。
というか、そういうのから、連想したとも言えます。

櫻子ちゃんのビンタに反撃しなかったのは、そういう状況の対処方法がインプットされていなかったためなのです。
たぶん、桐生さんは櫻子ちゃんみたいな一見しとやかなお姫様があのように暴力的な実力行使に出るとは予想していなかったのでしょう。
人造物というのは、コンピューターの如く、ある面では人間よりはるかに優秀ですが、予測できない事態に臨機応変に対応するのは不得手です。

この解釈で、ことりちゃんの不可解な行動が全て、(都合よく)説明できると思います。

人造人間だから、普通の人間ならありえない行動をとる。
行動パターンがアンバランス。
予定外の事態には、行動停止。

ファンの集いで、牧名ことりさん自身の解釈として、「後宮の女性すべてに嫌われている、太守にも本当は愛されているわけではない」というのがありましたが、そりゃあ、人間じゃなくて人形だもん、だれもお友達になってくれないでしょう。
太守は愛していないわけでは無いが、自分が造った人形に対する愛情と、人間に向ける愛情とは、質が違っても当然ではありませんか。

櫻子ちゃんにことりちゃんがビンタされて、桐生さんが怒るのは、「大事な作品が壊れたらどうすんねん?」という怒りなのですね。

花道で桜花さんと桐生さんが斬りあいをしている時、舞台の後方で櫻子ちゃんとことりちゃんが戦っていますが、途中でことりちゃんは、花道のほうを見て、気づかうように駆け寄ろうとするんです。
そのようすは、御主人様の危機を見て、思わず自分の状況を忘れたというふうに見えます。
そのことりちゃんの肩を後ろから、「ぐぁしっ」とばかりに掴んで引き戻す櫻子ちゃん。
どこが、姫やねん?
しおらしい顔をして、実はアリアンローザが転生していたのでしょうか。

所詮は操り人形であることりちゃんよりも、いざとなったら、人間である櫻子ちゃんのほうが強いのです。

乱戦になって、ふらふらと刀の前に出てしまって、桐生さんに斬られることりちゃん。
ことりちゃんは、桜花さんの攻撃から桐生さんを守るつもりだったのだと思います。
でも、人形の悲しさ。
人間の複雑な行動パターンが読みきれず、自分が守りたかったその人に斬られるような場所に身を置いてしまいました。

ことりちゃんを斬ってしまった桐生さんがショックのあまり刀を取り落とすのも当然。
大切な作品を、自らの手で壊してしまったのですから。

呆然としている櫻子ちゃんは、どういう心境でしょうか。

「まずい。お気に入りのおもちゃが壊れて、桐生が荒れる。でも、うちは知らんで。自分で壊したんやで。うちは責任ないで。そやけど、ごちゃごちゃうるさいやろな。機嫌取るのん、面倒やな。浮気にも飽きたし、夢落ちで、消えたろかしらん」

というわけで、暗転。

お後がよろしいようで。

コメント

No title

爆笑です(笑)
そして私は、「大事な大事なあきよ」というのを思い出してしまいました(笑)(2004年秋でしたか…高世さんと森野さんの)
やはり、高世さんのロットバルトも観たいですね~

>華崎さん

ウケていただいて、ありがとうございます。

2004年の森野木の香さんは、本当に人形でしたが、今回のことりちゃんは人造人間なので、自分の意思で動けるんですよ。(というのは、もちろん無幾庵の勝手な妄想です)

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