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OSK「カンタレラ2016」 (その3) 続・実践編

好きな場面というと、幕開きからとにかくダンスと歌のあるところは全部気に入った。

劇中で重要な場面では、モチーフとなった次の3曲のボカロ曲が使われている。

まず、ミュージカルのタイトルともなっている「カンタレラ」

原曲のニコニコ動画を貼り付けておく。

『KAITO・ミク』カンタレラ(第二版)『オリジナル』 (2:57)




この曲は物語のラスト近く、チェーザレとルクレツィアが幻想の中で踊る場面で使われている。
現実には一度も共に踊ることのなかった二人が「踊っておけばよかった(本当は踊りたかったのに・・・)」という悔恨にくれて、もしかしたらあり得たかもしれない幸せに踊る自分たちの幻を見るという設定だ。
この状況が泣かせるが、二人のダンスはあくまでも楽しげで、歌いながらなのに動く動く。
気持ちのいいほど縦横無尽の高速デュエットダンスである。

また、この曲は3拍子にアレンジしたものが「サヴォナローラのテーマ」として歌われる。
こちらは、2012年版のサヴォナローラ役の郷本さんという人の怪演が印象的だったが、OSK版の真麻さんも負けず劣らず歌とダンスで曲者らしさをかもしている。
他の場面でも真麻さんは、全編をとおして怪しい雰囲気満載で、そのしなやかな動きには目を奪われる。

1幕の終わりにチェーザレがソロで歌うバラードも、メロディはこの曲である。


次に、「サンドリヨン」
サンドリヨンとは、灰かぶり、つまりシンデレラのことだ。
原曲の歌詞のモチーフはシンデレラである。

【初音ミクKAITO】サンドリヨン(Cendrillon)【オリジナル曲】 (4:37)




この曲のいかにも緊迫した雰囲気そのままに、劇中でも緊張感のある場面で使われている。

まず1幕では、城月れいさん演じるクラウディアがチェーザレを暗殺しにくる場面。
ナイフをかざして、歌いながら踊りながらの大立ち回り、という離れ業はOSKならでは。
実のところ、OSKのショーやお芝居で刃傷沙汰(例えばカルメン)というのは見飽きた感があって、「またかい!」と文句が出ることもしばしばなのだが、演出の仕方によってはこれほど新鮮に感じられるという点に驚く。
原曲は男女の声のデュエットになっているが、劇中では襲撃者の城月さん、襲われる側の桐生さん、居合わせて目撃する舞美さんが三つ巴で歌う。
男声パートの桐生さんの声が、ボーカロイドの合成音よりもはるかに深く響くトーンで聞きほれる。
2012年版の兼崎さんの歌と比べても、声のピッチは男性である兼崎さんのほうが低いのだが、桐生さんの声はそれよりも重厚に響く感じがする。
ニコニコ生放送のスタッフ・トークで演出の上島先生だったと思うが「桐生さんの声は深いですよね」とおっしゃっていたから、あながち私のひいき目でもなさそうだ。

この場面、本当に見ごたえがある。ここだけは、城月クラウディアがヒロインだ。
ものすごく美しいのに、不幸な女の哀しみが全身に溢れ出していて、その上に黒幕に傀儡として操られているという憐れさ。
そして最後に自分が騙していたホアンに「ごめんなさいね」と言い残して・・・。
ここの、はかない声の出し方がいい。


2幕でもサンドリヨンの場面がある。
こちらは舞美さん、桐生さん、真麻さん、悠浦さんのかけあい。
葛藤するルクレツィア、思い通りに操ろうとするサヴォナローラ、思いとどまらせようとするホアンの魂、すべてを包むチェーザレ。
一気に物語のクライマックスに向かう劇的な場面である。

ユーチューブにはこの場面の稽古風景がアップされている。



そして3つ目の「パラジクロロベンゼン」

【鏡音レン】パラジクロロベンゼン【破壊系洗脳ソング】


ボカロ曲は、機械の声に唄わせるので原則として息継ぎの間がない。中でもこの歌はあり得ないほどの早口が間断なく続いていて人間が歌うのはとても難しい。というか、カラオケで私、挑戦してみたが、全然口がついていかなくてあっさり挫折した。音程をとるのも難しそうだがそれ以前の問題だ。
OSKのみなさまも、最初からするっとできたわけではないかもしれないが、どれほどの練習の成果なのか、今となっては事も無げに軽々と歌っている。しかも激しく踊りながら。

フィナーレの出演者全員による歌い継ぎと総踊りは圧巻だ。
ニコニコ動画にこのダンスシーンがアップされている。

パラジクロロベンゼン Finale Ver. (OSK日本歌劇団)





もうもう、どの人もカッコよくて最初から終わりまで見どころだらけなのだが、あえて一つあげるなら、真麻さんを真ん中にダンサーの二人が右左で黒づくめの3人が踊るところ。ため息が出るほどカッコいい。
ここだけ切り取った動画なんて、すごくぜいたく。
こんなにたやすく何度も繰り返し見られるとは、ありがたくももったいない。

そして人間て我がままだなーと思うのは、フィナーレのダンスだけ簡単にみられるのは嬉しいんだけど、映像が生舞台に劣るのは当然としても、なんだか美味しいとこだけのつまみ食いって有難みが薄まるような気がする。
劇場では、あの長い芝居に耐えた果てにやっとこのダンスが見られるわけで、ため込んだものを一気に放出する解放感というか爽快感というか。これを味わうには2時間の忍耐が必要なのかも。
とは言うものの、予約したDVDが来たら、歌とダンス以外の場面はとばして見てしまうだろうな。

「パラジクロロベンゼン」が使われている場面はもう一つあって、サヴォナローラと相棒のフェルナンドがチェーザレの弟・ホアンを唆して兄を殺すように仕向けるところの唆しの歌。
ここがまた、実際は深刻な状況なのだが、なんか楽しい場面なのだ。
悠浦さん演じるホアンを中にして、両側からサヴォナローラ役の真麻さんとフェルナンド役の楊さんが踊りながら唆す。この時の二人の踊りが見ていてすごく楽しい。左右対称の動きがぴったりとそろって、その上、よからぬことをたくらんでいる怪しさをぷんぷん漂わせる演技。
真ん中の悠浦くんは迷える子羊で、みるみるうちに悪の掌の上でころがされていく。
真麻さんと楊さん、ダンスにも演技にも達者な二人という感じだ。

それにしてもへたれのひがみっ子がこれほど似合う人もいないだろう。こんなに美しくてなぜそれほどいじけるのか、その上ただ一人信じた人にも利用されていたという、もう不憫としか言いようがない。という役を今回、悠浦くんが好演している。


ボカロ曲とそれをアレンジした歌のほかに、ミュージカルのためのオリジナルソングがいくつかあるのだが、それについてはまたこの次にしよう。


OSK公式サイト内 カンタレラ特設ページ http://www.osk-revue.com/cantarella2016/

コメント

ブログ移行のご挨拶

無幾庵さん、こんばんは。
お元気ですか?
お久しぶりです~。
カンタレラ、素敵‥
熱のこもった解説ですね~そんなに、素晴らしいんですね!

ところで、このたびブログを移行することになりました。
コース変更のため、コメントやトラックバックは消えてしまうので残念なのですが‥
長い間、ご縁をいただき、ありがとうございます。
「スローな読書ライフ・2」になります。
記事、写真、カテゴリーは移行できました。今のところは、あまり変わりばえもいたしませんが~出来れば、もう少し見やすく整理したいと思っております。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします^^

Re: ブログ移行のご挨拶

sanaさん
こちらこそ、お久しぶりです。
ブログ移行のお知らせ、ご丁寧にありがとうございます。
sanaさんの読書記事にはずいぶんとお世話になり、ご紹介いただいて読んだ本がたくさんあります。読後にもう一度sanaさんの文章を読むとその真価がわかるというか、上手にネタバレを避けながら的を射た感想を書かれていることに感心しておりました。
このごろは何かとツイッターで終わってしまって、ブログを書くことも読むことも怠りがちです。
覚えてくださっていて嬉しいです。
早速新しいブログをブックマークしました。
これからもよろしくお願いいたします。

OSKは数年前から年に何度か東京公演をするようになっています。
機会があれば、一度見ていただけたらと思います。

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