FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

OSK春のおどり2015 (その5)

へらへら踊りという本来はおふざけなのだが妙に緊迫してしまう場面から、一転してロマンティックな蝶の連れ舞が始まる。


菜種を表す黄色ずくめの群舞が可愛い。

蝶の模様の振り袖の恋羽みうちゃんは清純可憐。

そして、すっぽんより優男の高世さん登場。

ここまで幕開きや芸妓さんの衣装が原色に近いはっきりした鮮やかな色合いが多かったのに対して、ここは衣装も背景もやわらかなパステルカラー。
音楽も、クラシックをアレンジしたようなメロディはピアノの音色が際立ち、清涼感が漂う場面となっている。

私はみうちゃんの日舞が好きだ。
素人だから技術の程度はよくわからない。
でも見ていて気持ちのよい動きだと思う。
それはたぶん柔軟な体と強じんな筋肉のもたらすものなのだろう。

それが最もよくわかるのは、引き抜きで衣装が変わった後の舞台中央での仰け反り。
このポーズは日本舞踊では海老反りあるいは海老折りと呼ばれるらしいが、あの衣装と鬘をつけてあそこまで上半身を反らせるには、相当な背筋力を要するに違いない。

身体を反らせたみうちゃんが羽に見立てた手をぱたぱたさせて、高世さんが引き起こす。ここがひとつの見せ場で、毎度客席から拍手がきた。


女役が背中を後ろへ反らせるポーズは洋舞でもよくある。
洋舞のほうが身体の線が見えるのでポーズの美しさがよくわかる。

もちろん、洋舞でもみうちゃんの仰け反りは際立っている、と私が思ったのは2012年のたけふ公演の第2部。
桐生さんが平清盛を演じた年である。

第1部のお芝居に続く第2部が洋舞ショーで、最初からフルスロットルのラテン総踊りだった。
第2景で男女幾組かのカップルで踊り始めてすぐに、娘役が全員ぐいっと背中を反らせる振りがある。
もしも2012年たけふ菊人形グランドレビュー「清盛疾風伝 大いなる武士」のDVDをお持ちなら、映像でたしかめてほしい。ここで桐生さんの相手役を務めているみうちゃんの背中が誰よりも大きく反っていることを。
日舞の時と違って、この時は一瞬反ってすぐに起きるが、その代わりまったく自力で起き上がるのだから(男役のさりげないサポートはあるのかもしれないが)難易度は低くないと思う。

単に大きく反っているだけでなく、みうちゃんのは形が美しい。
鞭がしなるように力強くなめらかな動きだ。


それからというもの、私はダンスの中に仰け反る振りが出てくるとみうちゃんに注目するようになった。
だから、今回の日舞の海老折りもみうちゃんならできて当然。
今更驚かないのである。




このように私的注目株であるみうちゃんと、近年ますます日舞にみがきがかかった印象のある高世さんとの連れ舞は見ごたえがあった。

高世さんの日舞は元々素人目にもお上手であったが、以前は洋舞を踊られるときの特徴そのままに、シュビッ、シュバッ、シャッキーン!と効果音をつけたくなるような明快な踊り方だった。
桜花さんの隣で踊っているとその違いは顕著であった。

それがある時を境に高世さんの動きが柔らかくなったように思われた。
それは2013年の春のおどりで楊貴妃の役をされてからのことだ。
楊貴妃で初めて女役を演じ、演出の先生に相当鍛えられたとご本人が当時語っておられた。その経験が高世さんの日舞に影響したのではないかと私は思っている。


私は日本舞踊にはまるきり素人だが、見ているとたとえば歌舞伎役者の動きは女形でなくともなめらかで柔らかなところがある。たぶんそれが日本舞踊の特徴なのだろう。

生意気な言い方をすれば、楊貴妃を演じて以降、高世さんの舞は角がとれて一皮むけたと感じられた。
この感想が的を射ているかどうかはさだかではないが、実際の高世さんは独自に研鑽を重ねられ、つい先ごろ名取の試験に合格されたことはファンの記憶に新しい。



この場面は、他の方のツイートによれば、歌舞伎の『蝶の道行』を下敷きにしているらしい。


菜種の花畑でたわむれる男女。
途中から引き抜きで蝶の衣装に変身。
『蝶の道行』のストーリーに従えば二人は死んで魂が蝶になったということのようだ。

聞くまでそういう話とはわからなかったが、正直、そんなのわからなくてもひたすら美しい場面を観てうっとりするだけで私には十分だった。
引き抜きによる衣装替えでちょっと目先が変わり、みうちゃんの海老折りにも何か意味があったのかもしれないが、それは気にせず、ただCレベルのスゴ技におおっとなるばかり。


爽やかさは高世さんの持ち味の一つだと思う。
いろんな面で濃厚だった前トップの桜花さんと対照的に、すっきりさわやかクールミントな高世さん。
好対照の二人は、OSKの至宝コンビと謳われた。


今回の蝶の景。
恋する男女の連れ舞というと、演じる人によってはもっと情念のからんだなまめかしい雰囲気になってもおかしくない。
モチーフとなったかもしれない『蝶の道行』では地獄に落ちた二人が恋の業火に焼かれて苦しむのだという。

しかし、高世恋羽のコンビからはそういうじめじめした空気は感じられなかった。
菜の花が咲き乱れる中で、無心に遊ぶ二頭の蝶の微笑ましくメルヘンな世界。
寄り添う美しい二人にため息をつきつつ、この景は終わる。


一転して舞台には再び橋のセット。
幕開きと同じ衣装で、中堅・若手が並んでいる。
ほんわりした中間色の世界から、ぱあっと明るいヴィヴィッドなお祭り気分へ。

いよいよ第1部フィナーレが始まる。

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。