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OSK春のおどり2015 (その3)

緋波さん扮する安井道頓さんの一人語りは続く。

道頓堀の周りに芝居小屋ができてさまざまな興業が行われるようになった。
その一つが新国劇で・・・という流れで次の景、「THE 殺陣」 につながる。

ここで先ほどあれだけ道頓堀について豆知識を披露した道頓さん、新国劇というものについてもう少し説明があってもいいのでは?と思う。
いや、迫力ある殺陣で元は武士だった道頓さんもワクワクしたよ、というセリフがあったけど、正直、道頓さんの感想はいいの。
新国劇って何?っていう観客がけっこう少なくないんじゃないかと思う。

私は知ってたよ。
さすがに新国劇そのものが隆盛をきわめた時代は知らないが、全盛期を支えた看板俳優の島田正吾や辰巳柳太郎が映画やドラマに出ていたのは見ている。
漠然とだけど、新国劇って時代劇やチャンバラをやるのだという認識はあった。

でもそれって、私が時代劇好きだからだと思うんだ。
私の周りの同世代で時代劇なんて全然見ない、関心無いという人は、決して珍しくない。

松竹座のお客の年齢層は高めだから、確かに改めて説明してもらう必要のない人も多いだろう。
しかし。
私だってさして若いとも言えないのだが、それでも同年代で新国劇と言ってピンとくる人は少数派だと思う。
まして私よりも若い人たちはどうだろうか。

そもそも、今回ウィキペディア  で知ったのだが、「新国劇」ってジャンルの名前じゃなくて劇団名だったのね。
そして一時は隆盛を誇った新国劇は、戦後多くの舞台芸能がたどったのと同じようにかつての人気を失い衰退の果てに解散したのだった。
現在は解散時の中堅メンバーが創設した劇団若獅子がその精神を受け継いでいる。

こういう話を聞くと、OSKファンとしては身につまされるというか、なんだか親しみを感じてしまうけど、ま、ここまでの説明は興味のある人だけ知ればいいことだ。

大事なのは、新国劇ってものが大正時代の半ばに創設されたときのコンセプト。
それは旧来の歌舞伎を超える新しいわが国の劇をつくろうとしたことだった。
この“歌舞伎を超える”ってとこがキモだと思う。
全く何もないところから現れた新奇なものじゃない。
みんなが知ってるもの、歌舞伎を土台にしてそこに新しい展開を加えるということなんじゃなかっただろうか。
その展開のひとつが人気を博したというリアルな立ち回りの多用だった。

つまり従来よく知っているものに、新しいプラスアルファで観客をひきつける。
それが新国劇なんだと思う。

そこのところをみんなが了解した上で、「現代に新国劇があったとしたら、こんな感じになるでしょう」と道頓さんに言わせて次の景につなげたら・・・
「THE 殺陣」 の斬新とも唐突とも言える展開に感じる違和感も緩和されたかもしれない。
なんてことを思うわけです。

「THE 殺陣」 は、月を背景にするだけでセットの無いシンプルな舞台上で、たすき掛けに袴姿の男役が何人も入り乱れて殺陣を見せるという趣向だ。
ストーリーらしいものもなく、高世・桐生・真麻のトップ3にひたすら切りかかるその他大勢という感じ。
トップ3人の白い着物も、その他大勢の黒い着物に白いたすきも、見た目なかなか凛々しくてよかったのだが、途中でなぜだかトップ3だけが早変わりで洋服になって、刀を持ったままマイケル・ジャクソン風のステップを踏む。

ここ、私だけでなく戸惑った人が少なくなかったようだ。
ツイッターなどで見ると、「カッコいい!!」という肯定派もたくさんいるみたいだから、好きな人がいるんならそれはそれでよかったのだと思うけど、私個人的には洋装に日本刀というと“抗争”とか“仁義なき・・”とかそういうのが連想されて不穏なものを感じてしまい、気楽に楽しむ雰囲気ではなくなってしまう。
マイケル・ジャクソンでもいいけど、袴のままじゃダメだったのか。
現にその他大勢は袴のままだったわけだし。
ルパンの仲間の五右衛門はいつだって袴をはいているではないか。

ただ、早変わりを終えて、スポットの中に浮かび上がった白シャツ姿の高世さんはさながら研ぎ澄まされた抜き身を自ら体現しているかのようで、恐ろしいまでにカッコよかったから、まあいいか。

ステップを踏みながら、軽やかに刀をまわす。
これが現代の新国劇の新しいプラスアルファなのだろう。

高世さんといえばシャープな動きが持ち味だ。
どちらか言えば真麻さんも同系統に属すだろう。
そして、桐生さんは(私の分類では)ワイルド系。
思えば今回の「THE 殺陣」 は、この3人を中心としてはじめて成立する景ではなかったかという気がする。

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